杖との付き合い方、生きづらさ……そして!ステッキデビューでステキな歩みを

私が杖をつき始めて、もうすぐ数年経ちます。それ以前も杖によくお世話になる人生を送ってきました。しかし、なかなか「杖」という存在が、多くの方にとって身近に感じてもらえていないような気がするのです。

実は、スーパーマーケットにも販売されていることがあるほど身近な杖。知っておいても損はないかもしれない、杖の世界を少し覗いていきませんか。

杖に興味がある方や、これから杖デビューをする方へ、私の杖との付き合い方や生きづらさをお伝えしていきたいと思います。また、杖は「一本杖」「ロフストランド杖」「松葉杖」「四脚杖」など様々な分類がありますが、今回は私の相棒であるT字杖(一本杖)との付き合い方について、詳しく紹介します。

実録!杖を持つことで起こる生きづらさとは

私は、足腰の痛みと軽度の麻痺で杖をついています。そのため、体の自由が利きません。杖は必需品です。家でも掴まる物がない所では杖をついています。

まず、大前提として、杖をつくのは不便で生きづらいです。何と言っても片手が塞がってしまうので、手さげバッグを持っている場合などは、転んでも手はつけません。

雨の日にお買い物をしたいとき、自転車には乗れないので、傘と杖の二刀流で向かいます。重い荷物は背負うことになるので、量が限られますし、あまり多く詰め込むと体の負担が増えて辛くなります。

杖は、衣服などのように毎日デザインを変えることができません。数千円はかかる杖を、ファッションに合わせて何本も購入するのはなかなか難しいところです。

身体的な生きづらさばかりではありません。電車やバスなどに乗り込むと、様々な感情がこもった視線が刺さります。私を見るなり、磁石のN極とN極のように離れていく方や、「若者が杖をつくな!」と怒る方にも出会いました。

歩道の隅を歩いていても、舌打ちをされたりします。差別的な言葉をすれ違いざまに言われることもありました。

目立ちたくて使っているわけではない杖。やっぱり毛嫌いされると悲しいし、自分の痛みと麻痺を深く恨むこともありました

私の相棒「T字杖」について

形状はこのような形のものが主流ですね!

T字杖の形は、まさにTのように「縦一本の棒の上に、横一本の持ち手が付いた杖」です。病院や介護用品売り場に販売されているイメージですが、スーパーマーケットやホームセンターなどにも販売されていることがあるのです。身近ですね!

ちなみに私のT字杖は、全体がブラックで統一されていて、持ち手の下に長さ調節機能があり便利です。また、杖の中にゴム紐が張ってあり、引っ張ると四等分に分裂して折りたためます。これが、文字通り、私の相棒です。

杖の選び方や選ぶポイントを紹介!

杖は歩みを助けてくれる歩行の必需品ですが、場合によっては大きなデメリットを被る可能性があります。体に合わない杖を使い続けていると、身体の症状が悪化したり、杖が破損しやすくなったりといった支障を来すことがあるのです。

それらの支障は、使用方法をよく守ったり自分に合った杖を選んで購入したりといったポイントに注意すれば未然に防げます。そこで今回は、杖選びのポイントをお伝えします。

ざっくりと、以下の5点に注意して杖を選ぶようにしましょう。

ポイント

  • 医師に相談して自分の症状にあった杖を選ぶ!
  • 使用する場面に合わせた機能で杖を選ぶ!
  • 自分の身長や腕の長さにあった杖を選ぶ!
  • 自分の手になじむ持ち手の杖を選ぶ!
  • 自分が扱いやすい軽さで丈夫な杖を選ぶ!

初めて杖を選ぶ方や、どんなものがいいのか分からない方は、ぜひcotonohaにご相談ください。簡単なアドバイスになりますが、いっしょに杖選びをサポートします!

cotonohaに相談する

私の生きづらさ対策!お役立ちアイテムを駆使しよう!

体を支える手助けをしてくれる杖。とはいえ、先ほど紹介したように、日常生活では杖を使いづらい場面にも出会います。そこで、私が使用している後付けできるアイテムについてお伝えしていきます!

杖の売り場付近にはよく修理用の部品や、杖を使いやすいようにプラスできるアイテムなどが販売されていることがあります。ネット販売もされているので、杖を購入した後に「もっとこうしたい!」という細かなニーズが出てきても安心です。

今回は、一部のお役立ちアイテムについて紹介していきます!

 

ストラップ

元々、付属品になっていることもありますが、お好みでストラップを購入してみるのも愛着が湧くのでおすすめです。U字のフックを杖の持ち手の下にセットすると、杖から輪っかが伸びている形になります。この輪っかに手を通して持ち手を握ると、手を離しても、杖が手首にぶら下がるので杖が倒れません。お会計の時や手指消毒の時など、少しの間だけ両手を使いたいときに便利です!

 

杖ホルダー

杖の棒の部分にセットします。こちらは、杖を立てかけたいときに使用します。テーブルのような面に引っ掛けて、杖が倒れないように置いておける便利グッズ

 

杖先ゴム

杖の先端、地面との接地面に取り付けるゴムの部品です。杖先ゴムは、壊れたり劣化したりしやすいので、杖先ゴムを取り換えられる杖も多く販売されています。

また、ゴムの硬さや形も様々なので、自分が歩きやすいものを選べばぐんと杖が使いやすくなりますよ。例えば、斜面に合わせて形状が変化するものや、数本脚に分かれているものもあります!

体にかかる負担の緩和や、歩きやすさを考えて選んでみましょう。

 

持ち手カバー

杖を実際に使ってみると「お気に入りの杖だけれど、持ち手が合わない……」。そんなときは、用途に合った持ち手カバーをセットするだけで、使用しやすくなります。

カバーにも様々な種類があり、クッションが付いていたり、滑り止めになっていたり、なかには大きさを変えられるものまで存在するので、使いやすいものを探してカスタマイズしてみましょう。

時と場合に合わせてこれらのアイテムを組み合わせることで、杖が使いやすくなり、歩みが軽くなるような気持ちになります。

杖の大切さに学ぶ、生きづらさを生きやすさに変えるコツ

私は杖を持つことになった原因を恨んだり、悲しい思いをしたり、家から出たくなくなった時期があります。そのときに、向けられる視線を変えることは難しいですが、「愛着がある自分のこの杖は変えられるのではないか」と考えました。

自分の症状をみつめてみて、今の杖に足りない要素を挙げてみたら、自分の知識が足りていないことに気付いたのです。もっと杖について知りたい。そう思った私は、介護用品販売店に向かいました。そこには、様々なお役立ちアイテムが並んでいたのです。

私は、長く立ったり長距離を歩いたりできません。ですが、体を支えてくれているこの杖をカスタマイズすることで、少しだけ歩きにくさが緩和されました。体の辛さが減ることで、気持ちも軽くなりました。そして、行動範囲が広がったのです。

生きづらさをちゃんと見つめると、辛く、苦しい思いをするかもしれません。「なんで自分がこんな目に……」と悲観的になったり、自暴自棄になったりすることもあるでしょう。それでも、生きづらさを因数分解していけば、少しずつ、改善する余地が見えてくるのではないでしょうか。

私の場合は、足腰の痛みや軽度の麻痺といった身体的な生きづらさに加えて、杖に向けられる好奇の眼差しや差別的な言葉によって、精神的にも生きづらさを抱えて歩いてきました。いちど立ち止まって、足元を見つめてみたり、過去を振り返ってみたりすると、意外にもこの先の歩き方が見えてきた気がしたのです。

体と心をみつめることは簡単ではありません。ですが、そのきっかけは、思っているよりも近くにあるのかもしれません。

杖について深く書いていきましたが、必ずしも杖を新調したりアイテムを買いそろえる必要はありません。ただ、杖を持つ生きづらさがあるということや、杖は身近で広い世界であるということを頭の片隅に置いておいてくださると嬉しいです。

今回は、私の付き合い方や生きづらさをお話しさせていただきました。あなたのステキな歩みの力になれればと思います

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です